4月になるとフィラリア症の予防が始まりますね。
犬のフィラリア症というのは有名な病気ですが、実際どんな病気なのか、そしてフィラリア症の薬とはどういったものかについて説明します。
フィラリアは蚊を媒介して感染する寄生虫
フィラリアは寄生虫の1種で犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)とも呼ばれます。
名前のとおり糸の様に細長い寄生虫です。
このフィラリアに感染している犬の血を蚊が吸う時に、血液と一緒に幼虫が蚊の体内に取り込まれ、蚊の腸で感染力をもつ幼虫へと育ちます。
フィラリアは、この蚊が次に犬の血を吸う時に、吸血のために刺して作った穴から犬の体内へと侵入します。
そして犬の皮膚の下の組織内で70日ほどかけて2回脱皮をしながら、少しずつ育ちます。そうして育った幼虫は血管の中にまで入り込み、血流によって流され心臓、肺動脈へとたどり着き、そこで成虫になります。
ですので、フィラリア症の症状というと、成虫が赤血球を壊してしまうことによる貧血や肺や心臓の機能が妨げられることによる咳、運動を嫌う等が挙げられます。
フィラリア症の予防薬とは
フィラリア症のお薬は、血管に侵入する前の幼虫を殺すことで、成虫が肺動脈や心臓に寄生するのを防ぐお薬です。
そしてこのフィラリア症のお薬を飲むにあたって絶対に必要なことが、血液検査です。検査によって、心臓や血管に既にフィラリアがいないかを調べます。
この検査をせずに飲ませた時、もしも既にフィラリアに感染していて幼虫が血管内に侵入していた場合、この幼虫達が一斉に血管内で死ぬことで犬がショック状態に陥ることがあります。
一般的に行う血液検査は、血液中にフィラリアの成虫から出る物質があるかを判定する抗原検査と、血液を直接顕微鏡で見て幼虫が泳いでいないかをチェックする検査とで10分弱で終わりますが、症状が出ているなど感染が疑われる場合には心臓のエコー検査で実際のフィラリア虫体を見ることもあります。
フィラリア症のお薬には、味の無い錠剤タイプ、味のある錠剤タイプ、味のあるチュアブルタイプ、スポットタイプ(液体を体に垂らす物です)、注射タイプと様々な形態のものがありますので、お薬を嫌がる子やおやつの好きな子等、その子に合ったものを選んであげましょう。
また、単にフィラリア症だけを予防するものと、お腹の虫下しや、ノミダニ対策も同時に出来るもの等があります。
動物病院によっても取り扱っている物がかわってきますので、獣医さんと話し合って選んであげましょう。
フィラリアの予防は4月から11月まで
お薬を投与する期間としては、一般的には4月から11月と言われていますが、これはフィラリアの幼虫が蚊に吸われ、成長するには16度以上の気温が必要だからです。
つまり蚊が飛んでいるのを見かけたら、その翌月まではお薬を飲ませてあげる必要があります。
また万が一、去年のお薬が余っていたり、誰かにもらったりということがあっても、検査をする前に飲ませることは絶対にやめましょう。
また、前述のようにフィラリアは体内に入ると少しずつ成長していってしまいますので、毎月きちんとお薬を投与してあげるように気を付けましょう。
お薬の販売元をインターネットで調べると、定期投薬のためのお知らせメールサービスをしているところがありますので、飲ませ忘れが心配な人も安心ですよ。
参考文献:最新 家畜寄生虫病学朝倉書店
(ライター:ゆいべたりなり)