春になり暖かくなってきましたね。花が咲いたり蝶々が飛んでいたりでお散歩の楽しい季節です。
しかし、犬を狙うノミやマダニ等の寄生虫が活発に動き出す時期でもあります。
今回はこれからの時期に必要な寄生虫予防についてのお話です。
犬に寄生するノミ
まずはノミからお話しします。ノミは昆虫に分類されいくつもの種類がいますが、犬に寄生するノミは主にネコノミという種類のノミです。
ノミは犬が通りかかると飛び乗りすぐに血を吸い始めます。
血を吸ったノミは交尾をして卵を産みます。この卵はつるつるしており、すぐに犬の体から滑り落ちます。
そして孵化すると成虫のフンを食べて育ちます。
じゅうぶんに育つとサナギとなり、気温や湿度の良い時にう化し成虫となります。
このような育ち方をするため、ノミは1度犬に着くとお家の中、犬のベッド、犬の体表で増え続けるのです。
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犬がノミに寄生されると?
そしてノミに寄生されると、血を吸う時の咬み傷による痒みとノミの唾液成分に対するアレルギー性皮膚炎を起こします。
痒みが強すぎて眠れなくなったり痩せてしまったり、掻きすぎて毛が抜けたり皮膚がごわごわしたりと様々な症状が出ます。
また、長い間たくさんのノミに血を吸われていると貧血にもなります。さらにノミからうつる寄生虫として瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)という寄生虫がいます。
この瓜実条虫はノミの体内で育ち、犬がノミを食べてしまった場合に犬のお腹で増えます。
細く長い体をしていますが作った卵を犬の体から出す時には、卵の入った袋(卵嚢)がたくさん詰まった体の一部分をぷちっと切り離します。
この卵をノミの幼虫が食べるとノミの体内で瓜実条虫も育ち、これをノミごと犬が食べてまた感染するというサイクルです。
犬のお尻からご飯粒のような白い粒が出てきて動いている場合には瓜実条虫ですので、駆虫薬を投与する必要があります。
犬のノミの探し方
ノミの探し方としては、ノミとり用の櫛で犬のお尻まわりの毛をすくか、犬のベッドなどをよく観察してみてください。
そこで、黒い小さな粒々があれば濡らしたティッシュの上にのせてみましょう。ノミのフンは吸った血でできているので、黒い粒々が赤くにじみます。
犬に寄生するマダニ
次にマダニについてお話しします。マダニにもたくさんの種類がいます。マダニの幼虫(幼ダニ)は草むらの葉っぱの先端で犬が通りかかるのを足を広げて待っています。
そして犬が来るとしがみつき寄生を始めます。
血を吸った幼ダニは犬から落ち地面で脱皮をして若ダニとなります。若ダニも犬に寄生し血をじゅうぶんに吸うと犬から落ち脱皮し成ダニとなります。
この成ダニが犬に再度寄生し血をじゅうぶんに吸うとこれまた地面に落ちて今度は卵を産みます。こうしてマダニは何度も犬に着いたり落ちたりを繰り返しながら成長します。
犬がマダニに寄生されると?
マダニに寄生された場合も貧血やひどい痒み、炎症が起こります。また、マダニを介してうつる病気としてバベシア症という病気があります。
バベシアという赤血球に寄生する虫の感染が原因で元気や食欲が無くなり、貧血や黄疸、茶褐色のおしっこが出るなどの症状があり、ひどいと亡くなってしまうこともあります。
マダニは人にもうつる病気をも媒介します。SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は記憶に新しいですよね。
犬のマダニの探し方
マダニの探し方としては、お散歩から帰ったあとなど、犬の体をよく見てあげる事です。
特に、草むらや茂みに顔を突っ込んで行ったり、匂いを嗅いだりした際にマダニがついてしまいやすいため、お口まわりや目のまわりの柔らかい皮膚の部分、お耳の内側、お腹、足先などをメインに体中をよく見てあげましょう。
また、マダニは犬から血を吸う際、自分の口を犬の皮膚の中へ刺しセメント様物質で固めてしまいます。
そのため、犬についたマダニを無理に引っ張って取ってしまうとマダニの口の部分が犬の皮膚の下に残ってしまい、炎症を起こし膿んでしまうことがありますので注意しましょう。
動物病院でマダニの口ごと取ってもらうか、駆除するお薬を使うようにしましょう。
犬に寄生するその他の寄生虫
他に犬の体につく寄生虫として、シラミやハジラミ、ミミヒゼンダニが挙げられます。シラミはノミやマダニ同様、犬の血を吸うため強い痒みが出ます。
ハジラミは犬の血は吸わずフケを食べますが歩き回る際に爪で犬の皮膚を刺激するため、痒みが出ます。どちらも痒みから犬はそわそわしたり食欲が無くなったりします。
シラミやハジラミは犬の毛をよく見て白い小さな卵がついていることで見つけます。
ミミヒゼンダニは、特にペットショップや保健所などの集団生活をしていた犬にいる事が多く、耳の痒みと焦げ茶色から黒色の臭い耳垢が特徴的です。
シラミ、ハジラミ、ミミヒゼンダニに関しても駆除剤を使いますが卵には効果がないため、この卵が孵化する頃を見計らって数回にわたっての駆除剤の使用が必要となります。
駆除剤はノミの成虫だけを駆除するもの、ノミの卵の孵化をも阻止できるもの、ノミとマダニに効くもの、シラミやハジラミ、ミミヒゼンダニにまで効くものと様々ですし、首筋に液体を垂らすスポットタイプの他に錠剤タイプやチュアブルタイプもあります。
お薬を飲むのが苦手な子にはスポットタイプ、ごはんに混ぜて食べたい子には錠剤タイプ、おやつの好きな子にはチュアブルタイプ等、その子に合ったものを使ってあげましょう。
なお、最近のお家は年中通して暖かく、ノミ等は季節を問わず活発に動いている事も多いです。毎日のお部屋の掃除や犬のベッドのお洗濯もしてあげましょうね。
犬にとって訳のわからない痒みはストレスですし、別の病気にまで感染してはたいへんです。
こういった寄生虫はとても小さく見付けづらいため、予防として毎月1回駆除剤を投与する事が効果的ですよ。稀にですが、お散歩には行かない子でもノミがついている事があります。
ベランダに野良猫ちゃんが来て網戸越しにスリスリされてうつったり、飼い主さんがよその犬やを触って帰った時に、ノミを連れ帰ってしまってうつったりという事もあります。
犬が体を掻いていないか、がじがじ噛んでいないか普段からよく見てあげるようにしましょう。
参考文献「最新 家畜寄生虫病学 朝倉書店」
(ライター:ゆいべたりなり)