初めて犬を家に迎え入れて10日くらい経ちますが、犬のしつけは難しいです。
犬のしつけなんて簡単だよ?と言う人もいるのかも知れませんが、犬に求める事や犬に対しての理解の仕方は人ぞれぞれですし、犬にも人間と同じように個性がありますので、人間の子供を育てる感覚とあまり変わらないのではないかという気がします。
そしてほとんどの犬の飼い主は、家族として家庭に犬を迎え入れているのでしょうから、私と同じ感覚の人が多いと思います。
改めて考える、人の幸せと犬の幸せとは何か?
「人の幸せってなんでしょうか?」と聞かれてすぐに答えが出てくる人は少ないでしょうし、その答えは有って無いような物、人それぞれの価値観によって千差万別です。
つまり、犬を飼う側の「人間の価値観」と「犬の個性」の組み合わせは無限にあるという事です。
「人の幸せ」をここで考えても永遠に答えが出ないと思いますので、それは一旦おいといて、「犬の幸せ」について考えてみましょう。
犬の幸せって何だろう?
狼を祖先とすると考えられている「犬」という動物は、使役犬や愛玩犬として人間と共棲する事を前提に、およそ1万5千年かけて品種改良を重ねて人為的に作り上げられて来た動物です。
野生化した犬の場合
人間との共棲に適した遺伝子に作り替えられていますので、野生化の犬の生活は狼と比べてやや困難なものにはなりますが、捨てられてた犬たちが野犬化して群れを形成し、狩りを行う事もあります。
もちろん、通常捨てられた犬は上手く狩りが出来ずに飢え死にしてしまったり、人間に殺処分されてしまう確率が高いので、飼い犬の野生化は人間の価値観から見ても、犬の感じ方から考えても、幸せになれるとは言い難いでしょう。
ですが、2つ目の子連れの野犬のパターンではどうでしょう?
自力で獲物を狩ることが出来て、親子連れ添っている様子を見ると、あながち人間に飼われている状態の方が幸せとも言えないのではないかと思います。
ただし、厳しい野生環境の中では飼育下と比べると寿命が短くなる傾向があります。
動物らしさの観点から見れば、野生化した犬の方が幸せに思えますが、犬らしさという見方をすれば、人間に飼われていた方が幸せなのかも知れません。
使役犬の場合
厳しいトレーニングや使役にさらされる犬たちは、愛玩犬に比べて寿命が短いと言われています。
しかし、彼らは人間に従って仕事をする事にやり甲斐を持って生きているようにも見えます。(そう見えるだけで、彼らが何かにやり甲斐を感じて生きているかどうかは人間の感じ方、考え方次第かも知れません)
一方で人間の人生を考えても、長生きさえ出来れば幸せであるとは言い難いと思います。
愛玩犬と使役犬の幸せの基準は同一か否か?
これをどう捉えるかによって、犬との付き合い方が変わって来るのではないかと思います。
愛玩犬の場合
愛玩犬の幸せってなんでしょう?
何不自由なく、人間と家族同様に仲良く暮らし、長生きする事でしょうか?
安定的に食料を供給され、周囲の環境も安定している飼育下の動物は、野生下よりも寿命が大幅に伸びますので、動物の寿命が短くなる原因としては、過度なストレスによる精神的な苦痛や、虐待などによる肉体的苦痛などが考えられます。
従って、長生きと言うのはある程度愛玩犬の幸せをはかる上でのバロメーターにはなりそうです。
しかしながら、人間に家族同様の扱いを受けて、甘やかされて何不自由なく育てられるのが犬にとって幸せなのかどうかは分かりません。
愛玩犬を飼う人間が欲するものは、自分の犬が幸せを感じていると思い込むことで、自らの心の充足感を得る事なのではないかと思います。
自分が考えるところの犬の幸せがなんであるか?
この問いに答える事が出来るところから、本当の意味での犬の教育が始まるのではないかと思います。
犬が幸せなら良いという訳ではない
一方で、犬がいくら幸せであったとしても、人間にとって犬が都合の悪い存在であっては、心の充足感を得る事は叶わないでしょう。
愛玩犬は人間に心の充足をもたらすものでなければなりません。
その為には、人間社会のルールを守らせる必要が生じてきますので、しつけをしなければならなくなります。
つまり、犬のしつけは人間が犬と最大限に心地良く暮らす為の犬に対する教育と言えますが、出来るだけ自分が考えるところの「犬の幸せ」を損なう事無く、人間社会に適応するルールを叩き込むのが理想のしつけではないかと思います。
多くのプロのドッグトレーナーや専門家(書籍や、犬のしつけに関わる事で収入を得ている人々)は、ほとんどが犬の幸せはこうだ、だからこうすべきだ、という論調で語っています。
彼らの主張する「犬の幸せ」はその人生観に相違があるのと同様に、千差万別です。
従って、犬のしつけに関する方法論も真逆の場合が多々あります。
最終的には自分自身が考える「犬の幸せ」に近い考え方を持っている専門家の意見を取り入れて行くようになるのかと思いますが、日々トライ&エラーを繰り返して自分と犬に合ったやり方を探して行くしかないのかも知れません。
(ライター:マルコ)